高齢者が見やすい色はどんな色か知っていますか？暮らしや介護で役立つ色選びと心への影響を解説

年齢を重ねるにつれて、「見えにくい」「色の違いが分かりづらい」と感じることが増えてきます。日常生活の中で、少し工夫をするだけで、暮らしやすさや安心感が大きく変わります。色選びや色の使い方もその一つです。この記事では、高齢者の方や介護をサポートする方に向けて、色の特性や暮らしに役立つ工夫を、分かりやすくご紹介します。

高齢者が見やすい色とはどんな色か知ろう

年齢とともに目の機能が変化すると、若いころよりも見やすい色や見えにくい色がはっきりと分かれてきます。色の選び方を工夫することで、日常生活での困りごとを減らし、安全で快適な暮らしにつなげることができます。

高齢者が見やすい代表的な色は、「青」「黄色」「白」の3色です。これらは目に入りやすく、明るい場所でもはっきりと識別しやすい特徴があります。特に黄色は、注意を引きつける効果も高いため、段差や手すり、スイッチなど、目立たせたい部分に使われることが多いです。

一方で、赤や濃い緑、黒などはコントラストが低くなりやすく、明るさによって見えにくくなることがあるため注意が必要です。また、加齢による水晶体の黄変（レンズ部分が黄色っぽくなる現象）によって、青や紫の識別が難しくなる方もいます。個人差があるため、ご自身やご家族の見え方を確認しながら、安心できる色選びを心がけるとよいでしょう。

見やすい色と見えにくい色の違いを理解しよう

色には、それぞれ目に入りやすい色と、少し見えにくい色があります。年齢を重ねることで、視力だけでなく色の感じ方も変化するため、日常で使う色に工夫が必要です。

見やすい色の特徴は「明度が高い（明るい）」「鮮やか」「背景とのコントラストがはっきりしている」ことです。たとえば、白い壁に黒いスイッチ、黄色い手すりなどはとても見分けやすくなります。逆に、同じような色同士や、暗い色同士を組み合わせると、境目が分かりにくく、つまずきや転倒の原因になることもあります。

見えにくい色には、「赤と茶色」「緑と青」「グレーと黒」など、似たような彩度や明るさの色の組み合わせがあります。また、紫や青緑などは、年齢とともに見分けがつきにくくなる場合があるため注意が必要です。下記の表に、見やすい色と見えにくい色の例をまとめました。

見やすい色	見えにくい色	特徴
黄色	灰色	明るさの差が大きい
白	黒	コントラストがはっきり
青	紫	年齢で見え方が変わる

色ごとの特性を理解し、身の回りで使うアイテムや家具、スイッチなどの色選びに活かしましょう。

暮らしの中で色を活用するためのポイント

日々の生活の中で色を上手に取り入れると、家の中での事故防止や、気分の明るさにもつながります。色選びのコツを知っておくと、無理なく取り入れやすくなります。

まず、はっきりとした色の違いを利用しましょう。たとえば、階段のふちや段差、出入り口などには目立つ色（黄色や白）を使うと、転倒防止に役立ちます。家具やスイッチ、ドアノブなど、手をかける部分も周囲の色としっかり区別することで見つけやすくなります。照明も明るさを十分に保つことが重要です。

また、洋服やタオルなど生活用品でも、なるべく明るく鮮やかな色や、はっきりした組み合わせを選ぶとよいでしょう。まとめると、暮らしの中で色を活用するポイントは以下のようになります。

• 家具や段差に目立つ色を取り入れる
• 同じトーンの色同士を並べない
• 明るく見やすい照明を心がける
• 生活用品にも明るい色やコントラストを活用

小さな工夫でも、毎日の安心や快適さに大きく影響します。

介護や高齢者施設での色彩の工夫

介護や高齢者施設では、利用者の安全と心地よさを重視した色づかいが求められます。建物や部屋、ご本人が使う道具にまで配慮した色の使い方がポイントです。

たとえば、トイレや浴室の入口には、一般の部屋とは異なる目立つ色を使うことで場所を分かりやすくし、迷わず利用しやすくなります。また、手すりやスイッチ、段差部分に明るい黄色や白などを取り入れることで、安全性を高められます。施設の床や壁も、あまり暗い色で統一せず、部分的に明るい色をアクセントとして使うと歩行時の不安も減ります。

さらに、施設内でのグループ活動やレクリエーションに、色分けした道具を使うのもおすすめです。持ち物や衣類、タオルなども色分けして管理すれば、間違いやすい場面での混乱を防ぐことにつながります。施設スタッフも、利用者一人ひとりの見え方や嗜好を確認しながら、使いやすい色を選ぶことが大切です。

色彩が心とコミュニケーションに与える影響

色は見やすさだけでなく、気持ちやコミュニケーションにも影響を与えます。色の持つ力を暮らしの中でうまく活用しましょう。

暖色系（赤・オレンジ・黄色など）は、気分を明るくし、活力を与えてくれる効果があります。逆に、寒色系（青・緑など）は落ち着いた気持ちをもたらし、リラックスにつながります。たとえば、食堂やリビングには暖色系を、寝室や静かなスペースには寒色系を取り入れるなど、部屋の用途や過ごし方によって色を選ぶと心地よい空間づくりができます。

また、色を使ったコミュニケーションも役立ちます。介護や施設では、スタッフが色分けしたエプロンや名札を使うことで、誰が担当か分かりやすくなり、安心して話しかけやすくなります。ご家庭でも、家族の持ち物やタオルを色で区別し、名前を覚えるきっかけにしたり、気持ちを伝えるサインとして使うことができます。

まとめ：高齢者の暮らしを明るく快適にする色選びのポイント

高齢者の暮らしをより安全で快適にするためには、見やすく識別しやすい色を選ぶことが大切です。とくに、明度が高くコントラストのはっきりした色や、個人の見え方に合わせた使い方を意識しましょう。

暮らしの中では、段差や手すりなど危険を伴いやすい場所に明るい色を使い、生活用品や家具にも色の工夫を取り入れることで、日々の安心感が高まります。また、色には心を穏やかにしたり、元気にしたりする力もあるため、空間やアイテムごとに適した色を選びましょう。

小さな色の工夫が、大きな安心や快適さにつながります。ご自宅や介護の現場など、それぞれの暮らしに合った色選びを、ぜひ今日から意識してみてください。