高齢化が進む中で、ご自身やご家族の最期について考える機会が増えてきました。葬儀の形も多様になり、「家族葬」や「一日葬」という新しいスタイルが注目されています。
しかし、それぞれの違いや選び方、どんなメリット・デメリットがあるのか分かりづらいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、家族葬と一日葬の違いを分かりやすく整理し、どちらが自分たちに合っているかを考える際の参考になる情報をお届けします。
家族葬と一日葬の基本的な違いを知ろう

葬儀の形は、時代や価値観の変化によって多様化しています。ここでは「家族葬」と「一日葬」それぞれの特徴や違いについて見ていきます。
家族葬とはどんな葬儀形式か
家族葬は、親しい家族やごく近い親族、親しい友人だけで執り行う、比較的小規模な葬儀のことを指します。形式は一般的な葬儀と大きく変わらないものの、参列者を限定することで、落ち着いた雰囲気で故人を偲ぶことができます。
たとえば、規模を抑えることで、参列者への気遣いや準備の負担が少なくなります。また、故人や遺族の意向を大切にしたオーダーメイド感覚の葬儀を実現しやすい点も特長です。通夜・告別式の流れは基本的に従来の葬儀と同じですが、弔問客の対応や返礼品の準備などがコンパクトになるため、精神的・経済的負担も抑えやすくなります。
一日葬とは何か特徴と概要
一日葬は、通夜を行わず、告別式だけを1日で行う葬儀形式です。家族葬と同様、参列者が限られることが多いですが、最大の違いは「1日で終える」点にあります。
一日葬は、遠方から来る親族の負担を減らしたい、時間や費用を抑えたいといったニーズに応える形で増えてきました。従来の二日間にわたるスケジュールに比べて、準備や拘束時間が短く、日常生活への影響を最小限にとどめやすいのが特長です。その反面、宗教的な儀式や慣習が簡略化されるため、選ぶ際には事前に菩提寺や親族への確認が必要となることもあります。
参列者の範囲や対象となる人の違い
家族葬と一日葬では、招く人の範囲や考え方にも違いがあります。家族葬の場合、基本的に親族やごく親しい友人が参列の対象となりますが、家によっては近隣の方や職場関係者を招くこともあります。
一方、一日葬は、さらに参列者を限定するケースが多いです。たとえば、家族とごく親しい親族のみ、といった最小限の人数で執り行うことが一般的です。表で比較すると、以下のようになります。
葬儀形式 | 主な参列者 | 参列人数の目安 |
---|---|---|
家族葬 | 家族・親族・友人 | 10~30名程度 |
一日葬 | 家族・近親者のみ | 5~15名程度 |
このように、どちらも小規模ですが、一日葬のほうがより限定される傾向があります。
家族葬と一日葬の流れを比較
家族葬と一日葬は、当日の進行スケジュールに大きな違いがあります。家族葬は、通常の葬儀と同様に通夜と告別式を2日かけて行うのが一般的です。
一日葬は、通夜を省略し、1日で告別式から火葬までを終えます。そのため、葬儀会場で過ごす時間も短く、準備や移動の負担も軽減できます。具体的な流れを表で比べると、以下のようになります。
葬儀形式 | 1日目 | 2日目 |
---|---|---|
家族葬 | 通夜 | 告別式・火葬 |
一日葬 | (行わない) | 告別式・火葬 |
日程や時間の使い方も選ぶ際のポイントとなります。
家族葬と一日葬のメリットを比較

家族葬と一日葬には、それぞれ違った利点があります。この章では、メリットに注目して比較してみましょう。
家族葬の主なメリット
家族葬の最大の特徴は、身近な人たちだけで故人を静かに見送れる点です。大人数の葬儀とは異なり、慌ただしさや形式にとらわれず、ゆっくりとお別れの時間を持つことができます。
また、参列者が少ないことで準備や対応の手間が減るほか、故人の希望や家族の意向を反映した自由な形式にしやすいことも大きな利点です。形式にこだわらずに進めることで、精神的な負担が軽くなり、ときには家族ならではの温かい雰囲気を作り出すことができます。
一日葬で得られる利点
一日葬のメリットは、何よりも短期間で葬儀を終えることができる点にあります。遠方に住む親族や仕事の都合で日程を確保しづらい方にとって、1日で全てを終えられるのは大きな利点です。
また、通夜がないため、夜間の準備や移動の負担がありません。費用面でも、使用する会場や設備、会食の回数が少なく済み、結果的に経済的負担が軽くなる傾向があります。小規模なため、参列者への対応もシンプルになり、心身ともにゆとりを持って故人を送り出せるのが特徴です。
費用や準備期間の負担軽減について
家族葬と一日葬は、どちらも一般葬に比べて費用や準備期間が抑えられる点で共通しています。参列者が少ないことで会場規模や返礼品、食事などの費用が抑えられます。
特に一日葬は通夜を行わないため、会場の使用料や人件費なども削減できます。準備期間についても、短期間で必要な手順を済ませやすく、精神的な負担を感じにくい傾向があります。費用や準備について表で整理すると、以下のようになります。
葬儀形式 | 費用の目安 | 準備期間の目安 |
---|---|---|
家族葬 | 50〜150万円 | 2〜3日 |
一日葬 | 30〜100万円 | 1〜2日 |
内容や規模によって異なるため、事前の見積もり相談は大切です。
故人や遺族の希望に合わせて選べるメリット
家族葬と一日葬は、画一的な形式にとらわれず、故人や遺族の希望に合わせて内容を選べるのが大きなメリットです。たとえば、「静かに送りたい」「宗教色を抑えたい」「親しい人だけで見送りたい」といった様々な希望に柔軟に応じられます。
近年は、多様化する家族構成や価値観に合わせて、葬儀の形も変化しています。誰に何を伝えたいか、どんな雰囲気で送りたいかなど、個々の思いを反映しやすい形式です。こうした柔軟性は、満足度の高いお別れを実現するうえで大切なポイントと言えるでしょう。
家族葬と一日葬のデメリットと注意点

家族葬や一日葬にも、注意しておきたいデメリットやトラブルの種があります。選ぶ前に、具体的な注意点も確認しましょう。
家族葬で起こりやすいトラブルや注意点
家族葬は身内だけで行うため、親しい友人や近隣の方が参列できず、後日「知らされなかった」と感じることがあります。これによって、遺族が弔問やお悔やみの対応に追われてしまうケースも少なくありません。
また、家族や親族の中で認識の違いが生じ、「家族葬で本当に良かったのか」という意見が分かれることもあります。事前に関係者と十分に話し合い、理解を得ておくことが大切です。親しい方への連絡方法や弔問の受け入れ態勢を考えておくことで、トラブル回避につながります。
一日葬で気をつけたいデメリット
一日葬の場合、通夜を行わないため、一般的な慣習や宗教的な作法が省略されてしまうことに注意が必要です。特に仏教では、通夜が大切な儀式と考えられていることが多く、菩提寺や親族から異議が出る場合があります。
また、参列を希望する人が参加できる時間が限られるため、十分な別れの時間が持てないと感じることもあります。事前に宗教施設や親族に確認し、理解を得る手順を踏むことが重要です。慌ただしい印象を与えないよう、事前準備や説明の工夫が求められます。
菩提寺や親族の理解を得るためのポイント
家族葬や一日葬を選ぶ際には、菩提寺(先祖を祀る寺)や親族の理解を得ることが欠かせません。特に一日葬は、寺院付き合いのある家ではトラブルになりやすい傾向があります。
理解を得るためのポイントは次の通りです。
- 事前に菩提寺や親族に相談し、理由や希望を丁寧に説明する
- 宗教儀式の簡略化について、了承を得る
- 必要な法要や供養の方法も合わせて確認する
こうした手順を踏むことで、後々のトラブルを減らすことができます。
弔問や法要の対応が必要になる場合
家族葬や一日葬は小規模で行う反面、参列できなかった方から弔問やお悔やみの申し出が後日あることが多いです。その場合、自宅で個別に対応したり、改めて法要を設けることもあります。
対応方法としては、
- 後日のお参りを受け入れる
- お香典辞退の旨を伝える
- 適宜、返礼品などを用意する
こうした対応を想定して準備しておくと、遺族の負担も軽くなります。
費用や流れを具体的に比較してみよう

実際に家族葬と一日葬を選ぶ際、費用や流れを具体的に知っておくことは大切です。ここでは、平均的な費用やスケジュールを比較してみましょう。
家族葬の平均費用と内訳
家族葬の費用は、会場や規模によって異なりますが、平均して70万〜150万円程度が目安となります。主な内訳は以下の通りです。
- 式場使用料
- 祭壇・棺・骨壷などの葬具一式
- 霊柩車・マイクロバスなど移動費
- 料理や返礼品の費用
- 火葬料金
人数が少ない分、料理や返礼品などの項目で費用が抑えやすくなります。オプションによっては更に経済的に行うことも可能です。
一日葬の費用相場とポイント
一日葬の費用は、平均して30万〜100万円程度です。通夜を省略するため、会場や人件費の節約ができ、全体のコストが抑えられます。
主な費用の内訳は家族葬とほぼ同じですが、会食回数が1回になるため料理の費用が少なくなります。また、短期間で終えるため準備や移動にかかる経費も減り、費用面では比較的リーズナブルな選択肢といえるでしょう。
それぞれの葬儀の一般的なスケジュール
家族葬と一日葬では、当日のスケジュールが異なります。一般的な流れは下記のとおりです。
【家族葬の例】
1日目:通夜(夕方~夜)
2日目:告別式・火葬(午前~午後)
【一日葬の例】
当日:告別式・火葬(午前~午後)
このように、一日葬は通夜がない分、全体の所要時間が短縮されます。
葬儀費用を抑えるための工夫
葬儀費用を抑えたい場合、事前に複数の葬儀社で見積もりを比較することが大切です。また、必要なサービスやオプションを見極めて選ぶことも有効です。
たとえば、
- 返礼品や料理のグレードを調整する
- 必要最小限のオプションに絞る
- 公営の火葬場を利用する
このような工夫で、予算に合わせた葬儀が可能になります。事前相談や資料請求を活用して計画的に進めることをおすすめします。
家族葬か一日葬か選ぶ判断基準と準備のポイント
実際に家族葬と一日葬のどちらを選ぶかは、ご家族ごとに事情が異なります。ここではその判断基準や、準備で押さえておきたいポイントをご紹介します。
故人や家族の意思をどう反映するか
葬儀の形を決める際は、まず故人や家族の意思を尊重しましょう。事前に本人が希望を伝えていた場合は、それに沿って準備を進めるのが基本です。
本人の希望が分からない場合も、家族で話し合い、「どんな送り方がふさわしいか」「誰に参列してほしいか」などを整理しておくと判断しやすくなります。エンディングノートや遺言書があれば、内容を確認しながら進めることも大切です。
参列者や親族の意向も考慮しよう
小規模な葬儀を望んでも、親族や親しい友人の中には「最後のお別れをしたい」と考えている方がいるかもしれません。家族葬や一日葬を希望する場合は、参列者の意向も配慮し、連絡や説明を丁寧に行うことが大切です。
事前に主だった親族や関係者に相談し、理解を求めることでトラブルの予防につながります。参列できなかった方への対応方法(後日のお参りの受け入れなど)も併せて考えておくと安心です。
宗教や地域による違いを確認する
宗教や地域によっては、葬儀の形式に決まりや慣習があります。特に仏教の場合、通夜や法要が重要視されることが多いため、一日葬を選ぶ際には菩提寺への事前相談が必要です。
また、地域によって葬儀の進め方や参列者の範囲が異なることがあります。慣習やしきたりに配慮した準備を心がけ、トラブルの原因にならないよう注意しましょう。
葬儀社選びや事前相談の重要性
家族葬や一日葬を検討する際は、信頼できる葬儀社を選ぶことが大切です。費用や内容、流れなどを分かりやすく説明してくれる業者を選びましょう。
事前に見積もりや相談をしておくことで、予算や希望に合ったプランを提案してもらえます。また、葬儀後の法要や供養のサポートがあるかも確認しておくと安心です。焦らず計画的に進めることで、納得のいくお別れができます。
まとめ:家族葬と一日葬の違いを理解し最適な葬儀形式を選ぼう
家族葬と一日葬は、どちらも小規模で心のこもったお別れを実現できる葬儀形式です。しかし、参列者の範囲や儀式の流れ、費用面などに違いがあり、ご家族の事情や価値観によって最適な選択肢は異なります。
大切なのは、故人や遺族の希望、そして参列される方の思いを尊重しながら丁寧に準備を進めることです。事前に情報を集め、親族や関係者と話し合い、納得のいくかたちで最期のお別れを迎えられるようにしましょう。