通所リハビリと訪問リハビリの併用は本当に禁止なのか？最新ルールと利用メリットを詳しく解説

介護や老後の暮らしに不安を感じる方は多いです。特に「身体の動きが気になる」「リハビリをどう受ければよいか迷っている」といった悩みはよく聞かれます。通所リハビリと訪問リハビリを併用したいと考える場合、制度や手順、メリット・デメリットを知ることが適切なサービス選びの第一歩となります。この記事では、利用者やご家族の視点に立ち、具体的かつ分かりやすく解説します。

通所リハビリと訪問リハビリの併用は可能かどうか知りたい方へ

通所リハビリと訪問リハビリの違いや併用のルールは分かりにくいものです。まずは基礎知識や最新の制度について整理します。

通所リハビリと訪問リハビリの基本的な違い

通所リハビリは、利用者がリハビリ施設に通って受けるサービスです。理学療法士や作業療法士などの専門職による指導のもと、集団や個別のプログラムが実施されます。送迎や入浴、食事などの付加的なサービスも用意されている場合が多く、気分転換や社会的な交流の場としても期待できます。

一方、訪問リハビリは利用者の自宅で行われます。専門職が自宅を訪れ、生活環境やご本人の状態に合わせてリハビリを提供するのが特徴です。具体的には、ベッドからの起き上がりやトイレ動作、家事動作の練習など、生活に直結した動作の維持・向上を目指します。このように、通所リハビリは「施設中心」、訪問リハビリは「自宅中心」と覚えておくと分かりやすいです。

併用利用が認められる条件とは

通所リハビリと訪問リハビリは、原則として併用が認められています。ただし、同じ目的や内容で両方を重複して利用することはできません。たとえば、通所では筋力トレーニング、訪問では自宅の環境に合わせた動作訓練というように、目的が明確に区別されていることが必要です。

また、併用理由をケアプランにしっかり記載し、介護認定の範囲内で利用回数や内容を調整することも求められます。ご本人の状態やリハビリ目標によっては、主治医やケアマネジャーと相談しながら、より適切な併用方法を検討することが重要です。

厚生労働省が定める最新のルール

厚生労働省は、通所リハビリと訪問リハビリの併用について「利用目的の重複を避けた上で、必要性が認められる場合は併用可」と明確に指針を出しています。2024年現在もこの方針は継続されていますが、ケアプラン作成時の説明責任や記録義務が強調されています。

ルールの主なポイントは以下の通りです。

• 併用理由を具体的にケアプランへ記述
• 医師や多職種の意見聴取を行う
• 利用目的・内容の重複を避ける工夫
• 必要に応じて定期的な評価・見直し

このようなルールを守ることで、制度の適正利用と本人に最適な支援が両立しやすくなっています。

併用が禁止されるケースとその理由

通所リハビリと訪問リハビリの併用が禁止される主なケースは、「同一目的・同一内容の重複利用」と判断された場合です。たとえば、どちらも筋力維持だけを目的として利用している場合や、併用の明確な必要性が認められない場合などが該当します。

また、ケアプランに併用理由や目的が具体的に記載されていない場合や、介護保険の利用限度額を著しく超過する場合も注意が必要です。このようなケースでは、適切なサービス提供が難しいことや、制度の乱用につながるおそれがあるため、併用が認められません。主治医やケアマネジャーとの事前相談で、利用の可否をしっかり確認しましょう。

併用利用のメリットとデメリットを具体的に解説

併用には多くの利点がある一方で、利用者や家族にとって負担となる側面もあります。ここではそれぞれを具体的にご紹介します。

自宅と施設それぞれで受けられるリハビリの効果

通所リハビリでは、専門機器や広いスペースを活用した運動、社会参加の促進が可能です。集団活動を通じて「他者と交流する機会が増える」「外出する習慣が身につく」といった効果も期待できます。

一方、訪問リハビリは自宅の環境下で生活動作そのものを練習できる点が大きな特徴です。寝返り、立ち上がり、トイレや入浴、調理など日常生活で困っている動作を個別にサポートできます。両方を活用することで、施設の強みと自宅での実践力をバランスよく身につけやすくなります。

利用者や家族にとっての利便性と負担

併用利用の利便性は、希望するリハビリを必要な場所で受けられることにあります。例えば「施設で筋力アップ」、「自宅で生活動作の練習」といったように目的別にサービスを選べるため、ご本人の状態や家族の負担軽減につながります。

ただし、利用回数が増えることで日程調整や送迎の手配など、家族や本人にとっての負担が増える場合もあります。特に体力や認知面に不安がある場合は、無理のないスケジュールを心がけましょう。利用前にメリットと負担をしっかり把握し、バランスを取ることが大切です。

併用で期待できる生活の質の向上

通所リハビリと訪問リハビリの併用は、生活の質（QOL）向上に役立つことが多いです。施設での活動は社会的な刺激となり、外出や人との交流が気分転換にもなります。また、利用者が自分らしい目標を持ってリハビリに取り組むことで、身体面だけでなく気持ちの面でも前向きになりやすいです。

訪問リハビリでは、実際の生活の場で困っていることに直接対応でき、現実的な改善が期待できます。たとえば「家でのトイレ動作が自立できた」「安全に階段を上がれるようになった」といった具体的な成果が見えやすくなります。これらの効果を両立できるのが併用の大きな魅力です。

併用によるデメリットや注意すべき点

併用にはいくつか注意点もあります。まず、利用回数が増えることで体調管理が難しくなったり、本人が疲れやすくなることがあります。スケジュールの詰め込みすぎは避け、無理なく継続できるペースを意識しましょう。

また、複数の事業所やスタッフが関わるため、リハビリ内容が重複したり、連携不足が生じるケースもあります。主治医やケアマネジャーと密に連絡を取り、進捗や目標の共有を心がけることが重要です。メリットだけでなく、こうしたリスクも事前に確認しておくと安心です。

併用を検討する際の実際の手順とポイント

併用を希望する場合、どんな手順を踏めばよいか不安な方も多いでしょう。具体的な流れと注意ポイントをまとめます。

併用理由をケアプランに記載する重要性

併用利用を認めてもらうためには、ケアプラン（介護サービス計画）に「なぜ併用が必要か」を明記することが不可欠です。たとえば、「通所リハビリでは集団活動を中心に体力向上」「訪問リハビリでは自宅での生活動作を練習」といったように、目的を明確に記載します。

この記載が明確であればあるほど、介護認定審査やサービス担当者会議でもスムーズに説明でき、利用の正当性が認められやすくなります。書き方に迷う場合は、担当ケアマネジャーがサポートしてくれるので相談しましょう。

担当ケアマネジャーとの相談方法

併用を希望する際は、まず担当ケアマネジャーに相談することが大切です。ケアマネジャーは、利用者の生活状況や希望を総合的に判断し、適切なサービス計画を立ててくれます。

相談時のポイントとしては、

• 併用を希望する具体的な理由を伝える
• どのようなリハビリを自宅・施設で受けたいか話す
• 家族が協力できる範囲や不安も共有する

といった点を意識しましょう。ケアマネジャーからは、制度上の注意点や適切な併用方法などもアドバイスがもらえます。

必要書類や手続きの流れ

併用利用を始めるには、以下のような手順と書類準備が必要です。

手順	内容	主な提出先
1. 相談	ケアマネジャーと面談・計画案作成	ケアマネジャー
2. サービス担当者会議	利用事業所・主治医と調整	各サービス事業所
3. ケアプラン作成・同意	併用理由の明記・本人・家族の同意	介護保険事業所
4. 利用開始	必要書類の提出・サービス利用開始	各事業所

特に、ケアプランへの明記と本人・家族の同意書への署名が必須となります。書類の内容や提出先は地域や事業所によって異なる場合があるので、事前に確認しましょう。

併用開始後に注意したい利用状況の管理

併用利用が始まった後は、サービス内容や本人の体調・達成度を定期的に確認することが大切です。たとえば、「リハビリの内容が重複していないか」「利用回数が多くて疲れていないか」など、ケアマネジャーや事業所スタッフと情報を共有します。

また、月ごとにリハビリ目標の達成度や家族の負担状態をチェックし、必要に応じて内容を見直すことも役立ちます。無理なく続けられているか、常に振り返る習慣を持つと安心です。

併用が推奨される具体的なケースと事例紹介

どんな場合に併用利用が役立つのか、具体的な事例とともに紹介します。

退院直後の短期集中リハビリが必要な場合

入院生活を終えて自宅に戻った直後は、体力や生活動作が低下していることが多いです。この時期は、通所リハビリで体力・筋力の強化、訪問リハビリで自宅環境での動作練習を組み合わせると、早期の自立を目指しやすくなります。

たとえば、「退院後1～2か月は集中的に両方のサービスを利用し、その後は必要に応じてどちらか一方に絞る」といった柔軟な計画も可能です。短期間での生活力回復を目指す場合に、併用は大きな助けになります。

自宅での生活動作を強化したい利用者

「家の中で安全に歩きたい」「トイレや入浴の動作が不安」といった悩みがある場合、訪問リハビリを中心に、自宅の動線や家具配置を見直しながら実践的な訓練を行います。

一方で、通所リハビリで基礎体力や筋力の底上げを図ることで、訪問での練習効果を高められます。両方のサービスを活用すると、生活動作の質が向上しやすいです。

福祉用具導入や住環境整備と併せて利用する場合

手すりや介護用ベッドなど福祉用具の導入や、バリアフリー工事と併せてリハビリ計画を立てるケースもあります。訪問リハビリでは、実際の住環境に合わせて道具の使い方や動作のアドバイスを受けられます。

通所リハビリでは身体機能を強化しつつ、専門職と福祉用具担当者が連携して、安全な生活環境づくりを総合的にサポートできます。生活環境の変化に合わせてリハビリ内容を調整できるのが強みです。

施設と自宅で異なるリハビリ目標があるケース

ご本人が「外出時の歩行力を高めたい」「自宅では家事を自立したい」といった、異なる目標を持っている場合もあります。通所リハビリでは歩行訓練やバランス運動、自宅では料理や掃除など家事動作のリハビリをそれぞれ実施できます。

このように目的ごとにサービス内容を分けることで、総合的な生活力アップを目指すことができます。本人の希望や生活目標に合わせてサービスを選べるのが、併用の大きな特徴です。

併用利用に関するよくある疑問とQ＆A

利用を検討する中で「これって大丈夫？」と疑問に思うことも多いはずです。よくある質問をまとめて紹介します。

同じ日に通所と訪問リハビリは受けられる？

原則として、同じ日に通所リハビリと訪問リハビリの両方を受けることはできません。介護保険のルールで「1日1サービス種別」の利用が基本とされているためです。どうしても同日に両方が必要な場合は、特別な事情や医師の指示がある場合に限られることがあります。

日程調整はケアマネジャーと相談し、無理のないスケジュールを計画しましょう。

地域によるサービス提供の違いはある？

通所リハビリ・訪問リハビリともに、地域によって事業所数や提供時間、送迎範囲などが異なります。都市部では選択肢が多い一方、地方では事業所が限られる場合もあります。

利用可能なサービスは、住んでいる地域の介護保険サービス一覧やケアマネジャーに確認するとよいでしょう。

医療保険と介護保険のリハビリも併用できる？

原則として、医療保険と介護保険によるリハビリの同時利用はできません。たとえば、病院で医療保険のリハビリを受けている期間は、介護保険でのリハビリ提供が制限されます。

ただし、医療保険のリハビリが終了し、介護保険に切り替える場合は、主治医やケアマネジャーを通じてスムーズな移行が可能です。

併用を希望しても利用できない場合の対策

併用希望が通らない場合は、「併用理由の明確化」「サービス内容の調整」「利用回数の見直し」などで再検討できます。特にケアプランの記載が不十分だったり、サービス内容が重複している場合は、主治医やケアマネジャーと改めて相談しましょう。

また、地域によっては別のリハビリサービスやサポート制度が利用できる場合もあるので、情報収集をおすすめします。

まとめ：通所リハビリと訪問リハビリの併用で自分らしい老後を実現するために

通所リハビリと訪問リハビリの併用は、ご本人の希望や生活環境に合わせた柔軟な支援を可能にします。適切な目的・手順を守れば、身体機能の向上や生活の質の維持、家族の負担軽減にもつながります。

迷ったときは、ケアマネジャーや主治医、サービス事業所と相談しながら、一人ひとりに合った最適な利用方法を見つけていくことが大切です。自分らしい老後を実現するために、制度を上手に活用していきましょう。