介護の現場やご家庭で、健康管理の一つとして注目されている「アルブミン」。特に高齢者にとってアルブミン値の低下は、体力の低下や病気のリスク増大につながるため、日々のケアで気になる方も多いでしょう。
しかし、アルブミンとは何か、なぜ重要なのかを理解しないままでは、具体的な対策も立てにくいものです。本記事では、アルブミンの働きや低下の原因、食事や生活でできる工夫について分かりやすく解説します。
アルブミンを増やすには何が必要か知っておきたい基本知識

アルブミンについて知っておくことで、健康維持に役立つポイントが見えてきます。まずはアルブミンの働きや体への影響について押さえましょう。
アルブミンとはどんな働きを持つ成分か
アルブミンは血液中に多く含まれるたんぱく質の一種で、主に肝臓で作られています。この成分は体内の水分バランスを保つ役割があり、血管の中に水分をとどめておくことで、むくみを防ぐ働きがあります。
また、アルブミンは栄養状態の指標としても使われ、体内の老廃物や薬を運ぶ輸送役の役割も担っています。体調を維持するうえで大切な役割を果たしているため、生命活動に欠かせません。
このようにアルブミンは、体の基礎を支える重要な成分なのです。
アルブミンが健康状態を示す理由
血液検査でアルブミン値を調べることで、体の栄養状態や健康のバランスがわかります。アルブミン値が基準より低い場合、たんぱく質の摂取不足や消化吸収機能の低下、病気の可能性が考えられるため、健康の指標として広く用いられています。
特に高齢者では、アルブミン値の低下は体力や免疫力の低下につながりやすく、健康維持にとってとても大切な数値です。定期的なチェックを心がけることで、早期の対策や生活習慣の見直しにつなげることができます。
アルブミン値が低い場合に現れる症状
アルブミン値が低下すると、体にさまざまな不調が現れることがあります。代表的な症状を以下にまとめます。
- むくみ(特に手足や顔)
- 体力や筋力の低下
- 免疫力の低下による風邪や感染症へのかかりやすさ
このほか、傷が治りにくくなる、食欲が落ちるなどの症状もみられることがあります。気になる症状が複数みられる場合は、医療機関での相談が大切です。
なぜ高齢者はアルブミンが不足しやすいのか
高齢になると、食事量や消化吸収力が低下しやすくなり、たんぱく質の摂取や利用が不足しがちになります。また、病気や加齢そのものが肝臓の働きを弱めることも、アルブミン値の低下につながります。
加えて、食欲が落ちたり、飲み込みが難しくなったりすることで、バランスの良い食事が難しくなるケースも少なくありません。こうした複数の要因が重なり、高齢者はアルブミン不足に陥りやすいといえます。
アルブミンが低下する主な原因とチェックポイント

アルブミンが足りなくなる原因はさまざまです。日々の生活や体調の変化に注意し、原因を知っておくことが予防や改善の第一歩となります。
食事からのたんぱく質摂取不足について
アルブミンはたんぱく質から作られるため、食事で十分なたんぱく質が摂れないと、体内でのアルブミンの生成が不足しがちです。特に、食事量が減ったり、偏った食事になりやすい高齢者は注意が必要です。
たとえば、肉や魚、卵、大豆製品などを毎食意識してとることが大切ですが、食欲がわかない場合には、少量でも栄養価の高い食品を選ぶ工夫が役立ちます。また、食事の見直しは家族や介護スタッフと一緒に考えるのも良い方法です。
消化吸収機能の低下が及ぼす影響
胃や腸の働きが弱まると、食べたものからたんぱく質を十分に吸収できなくなります。その結果、栄養素が不足しやすくなり、アルブミン値の低下にもつながります。
高齢者では消化機能が落ちやすいため、やわらかく調理したり、消化の良い食材を使うなどの配慮が大切です。消化器の不調が続く場合は、医師に相談することも重要です。
肝臓や腎臓疾患がアルブミンに関係する理由
アルブミンは肝臓で作られていますが、肝臓のはたらきが悪くなると、十分なアルブミンが生成できなくなります。また、腎臓の働きが低下すると、体外にアルブミンが排出されやすくなり、血液中のアルブミン濃度が下がることがあります。
健康診断で肝臓や腎臓の数値に異常がある場合は、アルブミン値の変化にも注意が必要です。適切な治療やケアを行いながら、日常生活にも気をつけていきましょう。
慢性炎症や感染症による影響
慢性的な炎症や感染症が体内にあると、アルブミンの生成や維持が難しくなります。体が炎症と戦う際にエネルギーや栄養が消費されるため、アルブミンの合成も後回しになりがちです。
また、長期的に感染症が続くと、栄養状態が悪化し、回復に時間がかかる場合もあります。感染症の予防や早期治療、体調変化への早めの対応が、健康維持には欠かせません。
アルブミンを増やすための食生活改善ポイント

毎日の食事を少し工夫することで、アルブミン値の維持・改善につながります。食生活のポイントを押さえて、無理なく実践していきましょう。
良質なたんぱく質を積極的に摂る方法
アルブミンを増やすためには、動物性・植物性のたんぱく質をバランス良くとることが大切です。以下のような食品を意識して取り入れてみましょう。
食品の種類 | 代表的な例 | 摂取のポイント |
---|---|---|
動物性 | 肉・魚・卵 | やわらかく調理する |
植物性 | 豆腐・納豆・豆乳 | 消化の良いものを選ぶ |
調理は蒸す・煮るなど、油を控えた調理法もおすすめです。特に高齢者は、のどごしや噛みやすさにも配慮しましょう。
エネルギー不足を防ぐ食事のコツ
たんぱく質だけでなく、十分なエネルギー源をとることで、体内のたんぱく質利用がスムーズになります。ご飯やパン、いも類などの主食は欠かさず、適量の脂質も取り入れることが大切です。
食事量が一度に多く食べられない場合は、1回の量を減らし、間食を取り入れる方法も効果的です。また、調味料や油を適度に使うことで、エネルギー摂取を助けます。
バランス良く三食しっかり食べる重要性
三食をきちんと食べることは、栄養バランスを整える基本です。抜けがちな朝食も、簡単なもので構わないので必ず取りましょう。
たとえば、朝はおにぎりと卵焼き、昼はうどんに野菜や鶏肉、夜は魚や豆腐を使ったメニューなど、毎食に主食・主菜・副菜を意識して組み合わせるとバランスが良くなります。
食欲がない時に役立つ間食やサプリの活用
食欲が落ちているときは、無理に三食食べるよりも、間食や補助食品を活用して栄養を補う方法もあります。
- ヨーグルトやプリン、チーズなどの乳製品
- ゼリー飲料や栄養補助食品
- 小さなおにぎりやバナナなどの軽食
食事で補いきれない栄養は、医師や管理栄養士に相談しながらサプリメントの利用も検討すると良いでしょう。
高齢者がアルブミンを増やすために知っておきたい生活習慣

食事だけでなく、日々の生活習慣もアルブミン値の維持に大きく関わっています。毎日続けやすい習慣を身につけることが大切です。
毎日の適度な運動が与える効果
適度な体を動かすことは、筋力維持や代謝アップに役立ちます。筋肉が減ると体内のたんぱく質バランスも崩れやすくなるため、普段の生活に軽い運動を取り入れることがおすすめです。
たとえば、散歩や体操、椅子に座ってできるストレッチなど、自分の体力に合わせて無理なく続けることがポイントです。習慣にすることで、食欲アップや気分転換にもつながります。
アルコールや塩分を控える習慣
アルコールや塩分の多い食事は、肝臓や腎臓への負担となり、アルブミンの生成や維持に影響を与える可能性があります。飲酒は控えめにし、塩分を使いすぎないよう工夫しましょう。
調味料は減塩タイプを使ったり、香辛料やレモンで味付けするのも効果的です。家族皆で取り組むと、無理なく続けやすくなります。
体重や体調の変化をこまめにチェックする
急な体重減少やむくみ、体力の低下などは、アルブミン値低下のサインかもしれません。日々の体重や体調変化を記録し、気になることがあれば早めに対応しましょう。
簡単なチェックシートやカレンダーを活用し、家族や介護スタッフと一緒に管理する方法もおすすめです。
体調不良や異変を感じた時の受診タイミング
食欲不振や全身のむくみ、体力低下が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。自己判断せず、かかりつけ医や専門スタッフに相談しましょう。
定期的な健康診断や血液検査も、アルブミン値の変化を早期に発見するための手段となります。
アルブミン値を上げるための具体的なメニューや実践例
毎日の献立や食事内容に工夫を加えることで、アルブミン値の改善を目指せます。具体的なレシピや献立例、実践のポイントを紹介します。
朝食におすすめのたんぱく質豊富な献立
朝食は一日の活動のスタートになるため、しっかりとたんぱく質をとることが大切です。朝食の例を表にまとめます。
主食 | 主菜 | 副菜 |
---|---|---|
ご飯・パン | ゆで卵、焼き魚 | みそ汁、サラダ |
たとえば、ご飯とゆで卵、みそ汁とサラダを組み合わせることで、たんぱく質と野菜を一度に摂取できます。手軽に用意できるものを選びましょう。
手軽に取り入れられる高たんぱくレシピ
調理が簡単で、日常に取り入れやすい高たんぱくレシピをいくつか紹介します。
- 豆腐とツナのあえもの
- 鶏むね肉と野菜の蒸し煮
- 卵入り野菜スープ
これらは下ごしらえが少なく、やわらかく食べやすいので、高齢者にもおすすめです。
食事バランスを整えるための工夫例
全体のバランスを整えるには、一品だけに偏らず、主食・主菜・副菜を意識した献立作りが重要です。
色とりどりの野菜を使う、日替わりでたんぱく質源を変える、おひたしや和え物で野菜をプラスするなど、飽きずに続けられる工夫を取り入れましょう。
専門家や管理栄養士に相談するメリット
食事や栄養管理に不安がある場合は、専門家に相談することで、個々に合ったアドバイスを受けられます。管理栄養士は食事内容の提案や調理法のアドバイス、サプリメントの選び方まで幅広くサポートしてくれます。
病気や体調に合わせた食事制限が必要な場合も、適切な指導が受けられるため、安心して食生活の改善に取り組めます。
まとめ:アルブミンを増やすには毎日の食事と生活習慣の見直しが大切
アルブミン値の低下は、体調や健康にさまざまな影響を及ぼします。特に高齢者は不足しやすいため、日々の食事や生活習慣の見直しがとても重要です。
良質なたんぱく質とバランスの良い食事、適度な運動や体調管理を心がけながら、無理のない範囲で続けていきましょう。気になる症状や不安があるときは、早めに専門家に相談することが、健康維持のポイントとなります。