身近な家族が亡くなった時、悲しみの中でさまざまな手続きを進めなければならないことに戸惑う方は多いものです。特にクレジットカードの解約や未払い金の確認などは、手順を誤ると後々のトラブルや思わぬ支払いにつながることもあります。
どこから手をつけて良いか分からない場合でも、順を追って整理しながら進めることで、不安を軽減できます。この記事では、クレジットカード名義人が亡くなった場合に必要な手続きや注意点を分かりやすく解説し、ご家族が安心して対応できるようサポートします。
クレジットカード名義人が死亡した場合に必要な手続きの全体像

身内が亡くなった際、クレジットカードに関する手続きは意外と複雑です。ここでは、全体的な流れやポイントを把握しやすいよう、簡潔に解説します。
名義人死亡後にまず確認すべきこと
家族が亡くなった際、まずクレジットカードの有無や所持枚数を確認することが大切です。財布や自宅の書類、通帳記帳の履歴などを手掛かりに、どのカード会社と契約しているかを洗い出しましょう。カード会社によっては、郵便物や利用明細が定期的に届いている場合もあるため、郵便物の整理も有効です。
また、カードの利用明細や未払い分がないかも早めに確認しましょう。故人の口座が凍結される前に、引き落とし予定となっている金額や支払い日を把握しておくと、後の手続きがスムーズになります。特に公共料金の支払いや定期的な引き落としに利用されているカードもあるため、生活に支障が出ないよう漏れなく調べておくと安心です。
クレジットカードの種類ごとの対応方法
クレジットカードには、本人専用カードのほか、家族カードやETCカードなどさまざまな種類があります。これらのカードは、それぞれ解約や手続きの対応方法が異なります。
本人名義のクレジットカードは、名義人の死亡によって自動的に利用停止となる場合が大半です。しかし、家族カードは本契約者の死亡によって効力を失うため、家族カード利用者にも利用不可となる旨を伝え、速やかに返却や処分を行います。ETCカードについても同様で、元になるクレジットカードの解約と連動して利用できなくなります。どのカードがどのような位置付けなのかを整理し、カード会社ごとに指示に従って手続きを進めていきましょう。
解約手続きを行う前の準備
クレジットカード解約前には、必要な情報や書類を整理しておくことが大切です。故人の死亡届や戸籍謄本、相続人としての身分証明書などが求められるケースが多いため、あらかじめ用意しておくと手続きが滞りません。
また、カード会社によっては電話や専用のフォームで連絡を要する場合もあるので、連絡先や受付時間を事前に調べておきましょう。不明点はカスタマーサポートに相談できるよう、メモを取っておくこともおすすめです。これらの準備をしてから解約に進むことで、手続きの途中で慌てる場面を減らせます。
未払い金や残債の確認ポイント
クレジットカードには、利用していた分の未払い金や分割払いの残債が残っていることがあります。まずは利用明細やカード会社からの案内をもとに、支払い状況をしっかり確認しましょう。
残債がある場合は、相続の対象となるケースがほとんどです。どのくらいの債務があるのかを明確にし、必要であれば相続放棄の検討も行います。未払い分が自動で口座から引き落とされるか、支払い方法を変更する必要があるかなど、カード会社ごとに異なるため、早めに問い合わせて確認しておくことが重要です。
クレジットカードの解約手続きの流れと注意点

クレジットカード解約の流れは、把握しておくことで混乱や漏れを防げます。ここでは、実際の解約手順や家族カードなどの取り扱い、注意点についてまとめます。
亡くなった方のカードや利用明細の把握方法
故人がどのクレジットカードを持っていたか分からない場合、まずは財布や自宅の保管箱、書類の引き出しなどを丁寧に探しましょう。また、銀行口座の通帳やネットバンキングの履歴も活用できます。クレジットカードで引き落としがあれば「○○カードセンター」などの名称が記載されています。
郵便物やEメールも見落とせません。カード会社からの利用明細や請求書、キャンペーン案内などが届いている場合は、そこから契約内容を確認できます。利用明細が紙ではなくWebで管理されている場合は、ログイン情報やパスワードの確認が必要となるため、家族で共有していたノートやスマートフォンのメモなども調べるようにしましょう。
解約に必要な書類や連絡先の調べ方
クレジットカードの解約には、死亡届の写しや戸籍謄本、相続人の身分証明書などが必要となることが多いです。下記のような書類が一般的に求められます。
- 死亡を証明する書類(死亡届のコピー、戸籍謄本など)
- 相続人であることを示す書類(戸籍謄本、住民票など)
- 相続人の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)
カード会社ごとに求められる書類や連絡方法は異なるため、公式ウェブサイトやカード裏面の連絡先に問い合わせることが確実です。電話や郵送、Webフォームで手続きできる場合もあるので、案内に従って進めましょう。問い合わせの際は、カード番号や故人の個人情報が分かるものを手元に用意しておくとスムーズです。
解約手続きで注意すべき家族カードやETCカードの扱い
家族カードやETCカードは、本会員カードとセットで発行されていることが多いです。本会員である故人が亡くなると、それらの付帯カードも自動的に利用不可となります。
特に家族カードを利用していた場合、そのカードも返却・処分が必要です。ETCカードも同様に、早めに車から抜き取り、カード会社へ返却するか破棄しましょう。もし手続きを怠ると、不正利用やトラブルにつながることもあります。カード会社によっては、付帯カードの解約方法が本会員カードと異なる場合もあるため、指示通りに進めることが大切です。
クレジットカード解約後に発生する可能性のあるトラブル
クレジットカード解約後でも、利用明細に未払い分が残っていたり、定期的な支払いが停止されていなかったりすることがあります。こうした場合、後から請求が届くことも珍しくありません。
また、公共料金やサブスクリプションサービスの支払い方法を変更していないままカードを解約すると、サービスが止まったり、未納扱いになったりする可能性があります。解約後も1~2ヵ月は利用明細や銀行口座の動きをチェックし、不明な請求がないか確認しましょう。万が一トラブルが発生した場合は、速やかにカード会社へ連絡し、状況を説明することが重要です。
クレジットカード残債や未払い金の相続と対処法

クレジットカードの残債や未払い金は、相続の際に悩みやすいポイントです。ここでは、支払い義務や放棄の方法、ポイントの扱いなど、具体的な対処法を見ていきます。
残債の支払い義務と相続人の役割
故人が残したクレジットカードの残債は、原則として相続人が相続財産の範囲内で支払う義務を負います。複数の相続人がいる場合は、法定相続分に応じて債務も分担されます。
また、債務の金額や条件については、カード会社から相続人宛てに通知が届くことが一般的です。速やかに内容を確認し、必要に応じて分割払いや一括払いの相談をしましょう。遅延が続くと延滞金が発生する場合もあるので、放置せずに対応することが大切です。
残債の相続放棄や債務控除の基礎知識
クレジットカードの残債が多く、相続したくない場合は「相続放棄」という法的手続きが利用できます。これにより、相続人は債務を含む一切の財産を引き継がずに済みます。ただし、相続放棄には家庭裁判所での手続きが必要で、原則として死亡を知った日から3ヵ月以内に申立てる必要があります。
また、相続税の申告時には「債務控除」という制度があり、残債分を控除して計算できます。これにより、課税対象となる遺産総額が減少します。いずれにしても、手続きや期限に注意し、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
ポイントやマイルの引き継ぎ可否と注意点
クレジットカードの利用で貯まったポイントやマイルは、ほとんどの場合、名義人が亡くなると消滅します。相続や家族への名義変更が認められていないケースが多いので、事前にカード会社ごとの規約を確認しておきましょう。
中には、一定の条件下で家族がポイントを使える場合もありますが、手続きが限られたり、期限が定められていることが大半です。貯まっていたポイントは解約前に活用できないかも含めて、早めに問い合わせて確認しておくと安心です。
リボ払いや分割払いが残っている場合の対応策
リボ払い(毎月定額支払い)や分割払いを利用していた場合、残りの支払いについてどうするか悩む方も多いです。これらも遺産の債務として扱われ、相続人に支払い義務が移ります。
支払いを継続するか一括で精算するかは、カード会社と相談して決めることができます。支払い方法の変更や猶予を受けられる場合もあるため、相続人として早めに連絡を取り、状況を説明しましょう。放置すると遅延損害金が発生する恐れもあるため、早期対応が重要です。
死亡後に必要なクレジットカード以外の関連手続き

クレジットカード以外にも、さまざまな支払いやサービスの手続きが必要です。ここでは、公共料金や電子マネーなどの対応について解説します。
公共料金やサブスクリプションの支払い確認
クレジットカードで支払っていた公共料金(水道・電気・ガス)やサブスクリプションサービス(動画配信、音楽配信など)は、カード解約後に自動的に未納となることがあります。利用状況をリストアップし、支払い方法の変更手続きを早めに行いましょう。
主な確認先の例
サービス区分 | 代表的な例 | 確認方法 |
---|---|---|
公共料金 | 電気・ガス・水道 | 利用明細や通帳 |
サブスク | ネット動画・音楽 | メール・アプリ |
これらのサービスは、支払いが滞ると停止や解約になる場合があるため、家族で役割分担しながら漏れなく手続きを進めてください。
電子マネーやプリペイドカードの残高処理
近年は電子マネーやプリペイドカードも広く利用されています。SuicaやWAONなどの交通系・流通系電子マネー、またiTunesやAmazonなどのプリペイドカードの残高も確認しましょう。
残高が大きい場合は、所定の手続きを経て払い戻しが可能な場合もあります。たとえば、窓口やカスタマーサポートで相続人が申請できるサービスもあるため、公式サイトの案内を確認してください。手続きには、死亡届など身分を証明できる書類が必要となります。
付帯保険やサービスの請求方法
クレジットカードには、旅行傷害保険やショッピング保険など、さまざまな付帯サービスがついていることがあります。名義人が死亡した際に受け取れる保険金がないか、規約を確認しましょう。
請求には、死亡証明書や保険金請求書、相続人の身分証明書などの提出が必要です。カード会社や保険会社の専用窓口に問い合わせ、案内に従って申請しましょう。期限が定められている場合もあるため、早めの確認がおすすめです。
解約忘れによる二重請求やトラブルの防止策
カード解約後も引き落としが続いてしまう「二重請求」のトラブルを防ぐため、注意が必要です。特にサブスクリプションや自動更新サービスは、解約と同時に支払い方法の変更も必ず行いましょう。
二重請求が発生した場合は、カード会社やサービス提供元にすみやかに連絡し、返金やキャンセル処理を依頼します。家族で「手続き済みリスト」を作成し、誰がどのサービスを対応したか共有すると、抜けや漏れを防ぐことができます。
専門家やサポートサービスの活用方法
複雑な手続きやトラブルが発生した場合、専門家やサポートサービスの活用が役立ちます。ここでは、そのメリットや選び方、相談の際に準備したい情報を紹介します。
死後手続きや相続の専門家に相談するメリット
クレジットカードの残債や相続手続きは、法的な知識が必要な場面も多いです。司法書士や弁護士、税理士などの専門家に相談することで、正確かつ効率的に手続きを進めることができます。
また、相続放棄や複数の債務が絡む場合など、トラブルを未然に防ぎやすくなります。専門家からアドバイスをもらうことで、精神的な負担も軽減される点がメリットです。
遺品整理や生前整理サービスの選び方
遺品整理サービスや生前整理サービスを活用することで、故人の持ち物の整理や重要書類の発見がスムーズに進みます。業者選びは、下記のようなポイントを比較検討すると安心です。
- 料金体系や見積もりが明確か
- 実績や口コミが良いか
- 保有資格や許可証があるか
信頼できる業者を選ぶことで、プライバシーやトラブルへの配慮も期待できます。複数社から見積もりをとるのもおすすめです。
トラブル時の相談窓口やサポート体制
クレジットカードや相続のトラブルが発生した場合、以下のような相談窓口があります。
窓口 | 内容 | 主な連絡手段 |
---|---|---|
カード会社相談窓口 | 利用明細・解約など | 電話・メール |
消費生活センター | トラブル全般 | 電話・来所 |
弁護士会・司法書士会 | 法的トラブル | 電話・Web申込 |
それぞれの状況に合った窓口を選び、早めに相談することで問題解決を図りましょう。
相談前に準備しておきたい情報や書類
専門家やサポート窓口に相談する際は、下記のような情報や書類をあらかじめ用意しておくと、話がスムーズに進みます。
- 故人の基本情報(氏名・生年月日・住所など)
- クレジットカードの利用明細や契約書
- 残債や未払い金の確認資料
- 死亡を証明する書類(死亡届、戸籍謄本)
これらをまとめておくことで、時間や手間を省き、正確なアドバイスを受けやすくなります。
まとめ:クレジットカード名義人死亡時の正しい手続きと残債への適切な対応方法
クレジットカード名義人が亡くなった際の手続きは多岐にわたり、気持ちの余裕がない中での対応は大変に感じることもあります。しかし、必要な情報を整理し、優先順位をつけて進めることで、大きなトラブルを避けることができます。
まずはカードの種類や利用状況、未払い金の有無を確認し、必要な書類を用意してから解約や相続関連の手続きを進めましょう。公共料金やサブスクリプションの支払い方法変更も忘れずに対応してください。困った時は専門家やサポート窓口の活用も検討し、安心して手続きを終えられるようにしましょう。